通商産業省 関東通商産業局 関産認協第1476号

METSA

組合員探訪

第12回訪問 2016年2月23日(火) 株式会社ISLWARE

組合員探訪
株式会社ISLWARE(アイエスエルウェア)
住所
東京都品川区西五反田2丁目6番3号 東洋ビル3F Room-6
代表取締役
松村 一彦様
設立
2006年12月4日
組合加入日
2007年11月1日
探訪日
2016年2月23日(火)16時30分~18時 
樽屋監事、小倉事務局長、理事小池が訪問いたしました。

松村代表は、組合の商談会や協議会に積極的に参加され、自社のビジネスに結び付けておられます。
代表自身が現在3つほどのプロジェクトを切り回す非常にお忙しい中、「組合員探訪」のお願いに快く承諾していただきました。

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会社概要

映画やテレビ番組の最後のクレジットタイトルに必ず出てくる、撮影・映像・制作会社「IMAGICA」の情報システム部門が分社・独立して設立した会社です。
ISLWAREの名前は、I:Imagica S:System L:Land+WAREの略称です。
主に映像ソリューション関連のシステム開発に強みを持っています。

会社を設立したきっかけは?

企業家精神をもって起業したとかではなく、設立せざるを得なくなったというところが本当のところです。
IMAGICAが上場するにあたって、事業の選択と集中を実施しました。現像などの既存事業から上流のコンテンツの制作分野に進出し事業を伸ばしていく戦略をとりました。
システム関連事業は現在ほど本業の映像と密接に関わっていない上に規模も小さかったので清算対象となりました。
私は当時その情シス関連会社の責任者でしたが、IMAGICAの社員でしたので本体に戻ることは可能でした。しかし清算される関連会社の社員の気持ちを考えると、自分一人だけ難を逃れる選択をとることはできず、「何とかしなければ。」と思い立ち、社員と一緒に分社独立することを決意いたしました。

今までを振り返ってみていかがでしょうか。ご苦労されたことは?

設立当初は、引き継いだ顧客の案件で業績は順調に伸びていました。
しかし3年後に大きな案件でとんでもないトラブルを引き起こしました。仕様の調整がうまく行かず、工数は膨らみ、稼働が当初より大幅に遅れました。お金は払ってもらえましたが、すべてパートナーへの外注費と消え、遅れた分は当社の持ち出しとなり、大赤字を抱えることになりました。自己借金で社員の給与に振り分けていました。社員も何人か抜け去っていきました。経営相談を受けても「一刻も早く会社を清算しなさい。」と指導を受ける有様です。
ただ、「案件が稼働しなければ、請けた者としての責務を全うできないし、この先もない。」と腹をくくり、何とか最後までやりとげることができました。辞めて行った者たちも投げ出さずにやってくれましたが、気持ちは違う方向へ向いていたということだと思います。結局、彼らを守れなかったという思いが今でもあります。
そのお客様とは、今でもお付き合いくださり保守フェーズで安定した収益を上げさせていただいております。また最後まで頑張っていただいた社員は今では当社の中核社員です。本当に感謝しています。その後黒字経営に戻すことができ、今では累損も一掃しました。

貴社の状況や強みなどはいかがでしょうか。

映像ソリューションの業界は、比較的クローズで競合がまだ少ないと言えます。
フィルムやビデオからファイルシステムへの移行と、4K/8Kへ映像システムの移行が進行し、安定的に案件があり、技術者が不足しているIMAGICAグループからの依頼案件も増えてきています。
事例をあげますと、エンドは大手放送会社で、全世界から集まる様々な映像を統一されたフォーマットに変換、ファイル化し、それらを配信する管理システムを開発し納めています。開発現場では、傍を有名なニュースキャスターやコメンテータが通り過ぎていき、放送前のあわただしい状況を垣間見ることができます。
放送関係会社の今後の設備投資や技術動向に合わせて、アプリケーション開発を連携して行っていけることが当社の強みといえるかも知れません。

貴社の、これから力を入れることや、方向性などはいかがでしょうか。

やはり、これからも映像ソリューションにこだわっていきたいと考えています。
また受託開発ばかりでなく、自社サービスや自社製品の企画・開発・プロモーションに力を入れていきたいと考えています。以前、動画の圧縮技術であるH.264のエンコーダシステムを販売したことがあるのですが、なかなか立ち上がらず販売終了になってしまいました。
これからもあきらめずに、映像アプリサービスや製品にこだわり、チャレンジしていきたいと考えています。

組合の商談会や協議会等の活動状況はいかがでしょうか。

商談会では、当社案件で人員不足時に利用させていただいています。
問題は、我々元請は面談だけでは判断がつかず、業務をやらせてみて初めて全くパフォーマンスがない人材であることが判明することがあります。受託で契約しているので、単に人を紹介するだけでなく、その人のスキルや勤怠などを含め、案件遂行の責任とリスクを負ってほしいと思います。そのような考え方の組合員さんが増えてくれるように願っていますし、そのような会社さんと継続してお付き合いしていきたいと考えています。

組合活動へのご要望やご意見等何かありましたら。

さらに情報の交換会ができたらいいなと思います。各組合員は、やっていることも違うしターゲットにしている業界も異なるので難しいとは思います。別の団体であるKT-NETは、KDDI研究所の開発したものを製品として販売していくミッションがあるので情報交換の方向性がある程度一致しています。
私としては、映像ソリューションビジネスに力を入れていく組合員さんがあれば、情報を交換し、今後の人的投資や提携、協力して一緒にやっていきたいと考えています。

人材採用状況や採用方法についてはいかがでしょうか。

人材紹介会社を通じて採用しています。また昨年から学校から直接新卒採用を始めています。今年は女性の新卒を採用できました。会社の雰囲気も変わるのでこれから楽しみです。
組合の共同求人研修研究会は知っているのですが、時間が取れず参加ができていません。

人材育成やキャリア形成方法などについてはいかがでしょうか。

社員と半年に一度面談をして、仕事のレベルを上げるためのキャリアパスについて考え話し合っています。
プログラマーから顧客の要望を設計に落としこむSEへキャリアアップを効率よく図っていくには体系的な教育が必要です。
また、新人については、なるべく外に出さず社内で受託案件を担当させるようにしています。

事業継承などの取り組みにつきましては

後継者問題は、遅かれ早かれ現実的な問題になると思います。バランスシートもきれいになりましたので、タイミングを考えながら検討していきます。

JAPiCO、PマークやISMS、派遣法改正についてはいかがでしょうか。

Pマークを以前取得しましたが、手が回らず更新していません。
特定派遣の届出をしていますが、契約が受託・請負なので過去実績はありません。改正の手続きは取らずに行くと思います。

探訪後記

いつもゆっくりと穏やかな口調でお話しする松村社長から、設立時に人生の岐路に立ったことや、会社の修羅場を潜り抜けてきた状況をお聞きするとは予想していませんでした。大変お驚きましたし感銘を受けました。ほとんどの人が逃げてしまうであろう苦難の道を敢えて歩むことを選択し、見事に乗り切ってきました。そのような判断をする寄りどころは、松村代表の人間力なのか、使命感なのか・・。本当に考えさせられます。その決断の陰には奥様の多大な協力と支援があったのではないかと思います。その奥様は、お酒が好きで(松村代表はあまり飲まないようです。)、 週末一緒に酒場めぐりに行くそうです。テレビ番組の吉田類の「酒場放浪記」に出てくるようなレトロな大衆酒場を探しめぐっているとのことです。奥様への感謝の気持ちなのかも知れませんね。
松村代表は、第1回東京マラソンに参加し、現在は、トライアスロンの審判を務めているとのことです。川崎支部に所属し、競技者の安全管理などの地域活動に励んでいます。
映像ソリューションを核にますますご発展することを願っております。お忙しいところありがとうございました。

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