会社概要
サンマイクロシステムズ(現オラクル)でUnix/Javaベースの業務システム開発に携わった技術者が社員として活躍しています。基幹業務システムを構築するためのアプリケーション・フレームワーク*であるPEXAシリーズの製品の企画・開発・販売・サポート、それらを活用した業務分析、設計などのコンサルテーション、実際の基幹システムの構築などを事業として行っています。
*アプリケーション・フレームワークとは、要件分析から設計、開発実装、保守にいたるアプリケーションのライフサイクルに対応した作業標準、設計モデル、テンプレート、ツール、ライブラリー等。
会社を設立してから今までを振り返ってみていかがでしょうか。ご苦労されたことは?
あれだけ世界を凌駕したサンマイクロシステムズの調子が21世紀に入ると思うようにいかなくなり、このままでは、Java開発プロジェクトや保守契約を結んでいただいている顧客への責任が果たせないという危機感で所属メンバーと一緒にスピンアウトし独立しました。高い志を持って起業したわけではないのです。サンマイクロ時代は口座を開設してくれていた顧客も、与信の問題などで簡単には口座を開いてくれない状況でした。人脈や縁故で徐々に入り込み、今では大手や官公庁、自治体がメイン顧客で、上流工程の方法論の開発で提携している顧客もあります。大手の証券会社にそのSI子会社に競合で勝って入り込むこともできました。
貴社の製品PEXAについて概要を教えてください。
Unixワークステーションを使って日本初の銀行向けトレーディングシステムの構築に携わっていた時に、システムを構築のための仕組みや手段があまりにも少ないことに気づきました。トレーディングのようなビジネスモデルは金融工学を基本とする複雑なプロセスをシステム化する必要があり、そのシステム構築理論を追及する中でPEXA開発のひな形が生まれました。
PEXAでの開発プロセスは、顧客業務の分析、設計を行う上流工程に半分以上を費やし、業務のモデリングを徹底的に行います。PEXAはこの結果をステイトメント(プログラムコード)に纏め、直接PEXAエンジンで実行できますのでコーディングのような作業は殆ど省略することができます。下流工程が大幅に短縮できますし、メンテナンス性にも優れています。もちろんクラウド環境にも対応しています。
経理会計システムのような定型業務の開発よりは、大規模基幹業務システムの構築に向いている手法です。
貴社の状況や強みなどはいかがでしょうか。
顧客と直契約で上流工程に入っています。それは業務分析に深く関わってきますので顧客のシステムの状況や強み弱みを把握できます。そのノウハウを蓄積していることが当社の強みです。大手SIerは、プロジェクトの工程管理には長けていますが、業務分析は得意ではありません。例えば日本語を話していても人に教えることはできません。教えるには文法含め論理的な説明ができなければいけません。業務分析の仕様書(文法)を顧客の立場で作っていく一連のプロセスとその成果物が鍵となります。大手SIerが絡むと金額が高くなるし、またピンハネ率にはびっくりします。ですからできるだけ直接顧客と契約し、リーズナブルな価格で提供していきたいのです。
また超高速開発コミッティに参加しています。超高速開発ツールには良い製品がいろいろありますが、ツールには向き不向きの特徴があり、その選択を間違えると大変なことになります。PEXAは状態遷移図や状態遷移表など業務分析から入るような非定形型の基幹業務の開発に向いています。
官公庁の入札した案件の約半分は落札しています。(すごい!) 官公庁はメインフレームからOPENシステムへ移行しています。「動かないコンピュータ」で問題になったT庁の上流工程案件も落札しました。数年前大手SIerの下で実績を積み、今回は直接応札しました。業務システムが複雑ですが金額が高くないので、大手SIerやコンサル会社はだれも手を上げないのです。コンサル会社は高い金額の割にはまともな仕様書が書けないので官公庁のほうも避けてきているのかもしれません。
貴社の、これから力を入れることや、方向性などはいかがでしょうか。
民間の案件よりも官公庁の案件取得に力を入れていきます。民間の場合は、公平さよりもさまざまなファクターが優先される場合があり、結局時間の無駄になりノウハウだけ取られかねないのです。
自治体のシステムに関する入札は、大まかには住民サービス、人事給与、公会計の3つに絞られます。公会計は、稼ぐことがないので単式簿記ですが、資産管理のシステム化はこれからで、まずは箱物などの現状把握から始めるとか、きちんとしたバランスシートを作成しないといけない状態です。退職金引当金もまだ計上されてないところが多いです。マスターデータも何種類もあり整合性が取れていません。
特に地方自治体は、資産の老朽化が進み、予算もない中でこれらを早急にシステム化していかなければいけません。当社には今までに自治体の業務分析のノウハウやテンプレートやコンポーネントが蓄積されており、全国の地方自治体の入札案件にも応札していきたいと考えています。
組合の商談会や協議会等の活動状況はいかがでしょうか。
中島理事に紹介され加入しました。中島理事の人脈は、民間、政界、マスコミ業界など本当に広く且つ深いので、ビジネスの拡大に協力いただければありがたいと考えています。
組合活動へのご要望やご意見等何かありましたら。
先ほど言いましたように、民間よりも官庁関係の案件のほうが、公平さという点で取りやすいと思います。地方自治体や小さな入札案件をMetsaの組合員と協力して取っていってはいかがでしょうか。数百万円から数千万円の案件に応札し取っていく。テンプレートやルールベースなどのノウハウは弊社のものを活用すればいいのです。ただ上流工程なので、人事給与、公会計、住民サービスなどの業務は勉強しないといけないのでトレーニングは必要ですので教えますよ。やりやすいものから始めノウハウを貯めていくと徐々に力がついてきて鍛えられます。一緒にできるMetsaの組合員がいれば協力しあい、直にやったほうが良いです。資金的には、落札できれば担保になり銀行が貸してくれます。
ただ、地方自治体の応札条件は、そこに支社や営業所があるという条件がつくので、どうすればよいのか検討しないといけませんが。
人材採用状況や採用方法についてはいかがでしょうか
採用は縁故が殆どです。それも限界がありますので、いろいろ対策や検討しないといけないです。
組合の共同求人の成功例は興味があります。また理系の人はプログラミングでは力を発揮するですが、当社のような上流工程では、むしろ文系の人や女性の人のほうが向いているのかもしれません。
人材育成やキャリア形成方法などについてはいかがでしょうか。
教育関連は、ある大学校の情報工学科の先生にお願いしています。SKYPEを使用し、マンツーマンで週2回研修を行っています。基礎から始まり、プログラミング、DB等2ヵ月かけて研修します。
ストレスチェック義務化法案が今12月施行され、社員50名以上の会社には適用されることも大きな関心を持っています。パワハラ問題とも結びついていて非常に敏感な問題です。若い人に対し昔の考えで指導という名目で結果的にパワハラをしてしまうケースがあると思うので、十分指導を継続して実施しています。
事業継承などにつきましては
顧客の開拓や、プログラミングテストやドキュメント自動生成などをもう少し簡単にできないものか等解決しなければならない課題が沢山あります。顧客の業務システムの革新にさらに貢献していきたいと考えていますが、まだ力不足です。それが軌道に乗ればだれが社長でも大丈夫なのですが、それまでは私が頑張っていきます。
JAPiCO、PマークやISMS、派遣法改正についてはいかがでしょうか。
ISMSの取得に向けた活動をしているのですが、社内の間仕切りや、パートナーさんとの区分けなど解決しなければならない課題が多いです。JAPiCOマークは興味があるので、営業の方を紹介ください。
ISMSなどの資格は、Metsaで取得していただいているので、今後ともよろしくお願いします。また、それ以外の資格、例えばPMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)等の入札の条件になる資格については是非Metsaで取得していただくか資格者登録制を取ってくれると良いのかもしれないですね。