会社概要
王代表含め技術者のほとんどは中国から来られた方々です。
受託開発や常駐型の開発業務をメインに行っています。ロボット試作やIOTへの投資にチャレンジしています。
日本と中国間のビジネス開拓や科学者・技術者の交流等、IT業界にとどまらず、経済・文化発展の懸け橋として貢献をしています。
王代表と日本との最初の関係は?
1990年代に大学を卒業後、北京にある日系大手電気機器メーカーの関連会社に入社しました。生産管理システムの開発と保守を行っていました。
友人から、『日本に一緒に行ってみないか。』と誘いを受けました。日系企業での開発経験を活かし、より日本人のユーザに近いところで働きたいと思いました。就労ビザを取り1998年に来日し、ソフトウェア関係の仕事に携わりました。日本語は、学校に通うことなく、主に仕事を通じて独学で身につけました。
会社を設立したきっかけは?
来日当時は、起業することは考えていませんでした。その後企業の機密漏えい問題への対策が強化されつつありました。そこで2003年に中国で売れていた暗号化のセキュリティパッケージを日本語化して、市場展開したいと考えました。
また、日本は技術者人材不足が顕著でした。中国の有名大学と連携した採用活動と、日本での教育・研修そして開発業務までの一連の流れを作りたいと考えました。
それらをビジネスとして立ち上げるためには、起業するしかないと思いました。どんなに厳しい条件や環境の中でも、少しの可能性が見出されば起業する。その精神は華僑が持つ遺伝子なのかもしれませんね。
今までを振り返ってみていかがでしょうか。ご苦労されたことは?
セキュリティパッケージの開発は北京で行い、日本語にカスタマイズして販売しましたが、日本では大手企業が類似製品を発売していましたし、厳しい制限もありました。販売体力もなくうまくいきませんでした。結局2006年にそのパッケージ関連の事業を撤退しました。
それと並行で受託開発業務を行っていました。コア顧客は携帯電話会社で、ソフトの開発です。ところが、リーマンショック時も大変でしたが、そのうえ2013年夏に日本の携帯電話会社の多くが、開発をやめて事業から撤退する事態になりました。契約が終了し、次の案件をどうしようかと非常に大変でした。
そこで松岡執行役員の存在が大きいわけですね。
そうです。松岡執行役員は、元日本ユニシス社員で、弊社のお客様でした。リーマンショック時に弊社に入社していただき、ほんとうに助けていただきました。携帯電話会社から他の顧客にビジネスを切り替えるリカバリーをしていただきました。今ビジネスが継続拡大しているのも松岡執行役員の力のおかげです。
松岡執行役員から見て王代表はどのような人でしょうか。
ユニシス時代から技術者としてお付き合いがありますが、スキルが高く、人間的にも真面目で前向きで勇気のある人です。また、この若さで『在日中国科学技術者連盟』の副会長を務め、2年連続中国華僑の日本代表として活躍されています。日本で成功するよう応援したくなりますね。
貴社の状況や強みなどはいかがでしょうか。
経験豊富な中国籍の技術者が多いことです。経験3年以上の技術者ばかりです。中国の理工学系大学のIT/ICT関連出身者を採用しています。また、中国の人材紹介会社と契約し、技術ベースのある優秀な人材を採用し日本に呼んでいます。
条件も変わらなくなっているのに何故中国の人が日本に来て仕事をしたいのでしょうか。
最近は、中国も日本の単金や給与と差がなくなってきています。
では何故中国の人が日本に来て仕事をしたがるのか。それは、給与や待遇ばかりではないのです。日本の文化や風土や生活環境を好きな人、関心ある人が多くなってきています。アニメやゲーム等の影響もあるでしょう。中国人も生活に余裕をもってきています。仕事やITのことだけではなく、日本のそれ以外のことも学びたい、日本人とコミュニケーションを取りたい、と思っている中国人が増えているのです。
中国人技術者へのあまりよくないイメージが散見されますが・・・。
そのような技術者もいると思いますが、多くの中国人の技術者は勤勉です。
また、東日本大震災3.11の時に中国人が現場を離れて中国に戻ってしまった。と批判されていますが、少し誤解があります。日本内と日本外での情報の違い(メルトダウン発生しているのに発表がないなど)や、一人っ子のため家族が非常に心配し有無を言わせず『すぐに帰って来い。』と懇願されるのです。弊社の技術者は、業務にある程度区切りをつけて帰りました。
もしそのようなイメージを少しでも払拭していくには、日本に来たい優秀でコミュニケーション能力の高い技術者を採用し顧客に使って広げていき、信頼を得ていく方法しかありません。
貴社の、これから力を入れることや、方向性などはいかがでしょうか。
社員の増加も含めて規模の拡大を目指していきたいです。優秀な中国技術者を採用し増やし、日本に定着させていきたいです。また新しい顧客や口座を増やしていきたいです。中国人技術者が受け入れられる現場はそう多くありません。営業戦略として、優秀な中国人技術者を使ってもらい、信頼と信用を得て、これだったら増やしてもいいのでは、と考えてもらう。コツコツとやっていくしかないと思っています。
リーダ/サブリーダ体制を作れるようになりたいですね。
2011年に高圧線清掃用ロボットの試作品を作りました。今後は自動化制御からIOTに繋がる技術を創り、投資し実現できるところからチャレンジしていきたいと思っています。
これから日本の労働者人口は少なくなってきます。労働力不足を補うために、中国の優秀で良い人材を提供し続け、少しでも貢献していきたいと考えています。
組合の商談会や協議会等の活動状況やご要望などはいかがでしょうか。
商談会での案件や人材引き合いに参加しビジネスに役に立っています。営業の集まりなのでFace to Faceなのがいいですね。お付き合いが継続できます。参加者が多いので、各会社の出す案件の枠と紙の枚数を決めたほうが良いと思います。
何かお困りのことは。
中国人向けの案件や受け入れ先がまだ少ないことです。その現状に負けないように、中国国籍の優秀な技術者を提案し続け、顧客の信頼を着実に得ていくことです。新しい顧客の口座も少しずつ増えてきています。
IT業界に限ったことではないのですが、中国国籍の技術者が働きやすい環境を整備してほしいです。折角若い技術者が日本で働いていても、年金制度など制限が多いです。また長い目で見ても、一人っ子なので中国から両親を呼び寄せて一緒に生活したいと考えても、なかなか難しい条件が付きます。今後の日本の労働者人口不足を考えると、このような足かせは無くしてほしいです。日本に貢献、恩返しがしたいのです。
人材採用状況や採用方法についてはいかがでしょうか
中国側では人材紹介会社や電子媒体を通じて、日本側では口コミや中国人向け新聞、電子媒体などを利用しています。経験者のみの採用となっています。
人材育成やキャリア形成方法などについてはいかがでしょうか。
技術的ベースや業務知識はあります。また日本語の教育も受けています。問題は、日本語での会話のコンテンツです。お客様の考え方を理解し、お客様とのコミュニケーションを通して積極的にアドバイスができる力を身に着けていくことです。それができないと、SEやリーダになれないです。そのような人材を増やすために研修していきたいです。