通商産業省 関東通商産業局 関産認協第1476号

METSA

組合員探訪

第24回訪問 2018年3月8日(木) 株式会社OTソリューションズ

組合員探訪
株式会社OTソリューションズ様
代表取締役
大里 健様
本社住所
〒151-0051東京都渋谷区千駄ヶ谷5-23-6 グランスイート代々木1102
設立
2007年2月
組合加入日
2009年1月1日
探訪日
2018年3月8日(木)16時~
小倉事務局長、樽屋監事、理事小池が訪問いたしました。

会社概要

「技術を超えたソリューションを提供する企業」を目指し、設立後12年目に入りました。事業内容は主に、ソフトウェアの企画・設計・開発・運用管理・販売やホームページの企画・制作・運用管理を行っています。また、お客様のニーズによってはパートナー会社で開発したパッケージやASP等のサービスも提案をしております。

設立のきっかけは

「大学を卒業して最初に食品メーカーに3年くらい勤めた後、食うに困ってトラックの運転手を3年くらい。次は金貸しの営業を2年ほど。中小企業相手のいわゆる商工ローンっていう業界ですね。主に中小企業の社長相手に営業していたのですが、常に資金繰りに奔走していたり、前日までゴルフに行ってた社長が翌日には家族ごと姿を消したりとか・・・いわゆる「夜逃げ」ですね。 そんな生々しい実態をみてきたので中小企業の社長なんて絶対やるもんじゃないなって。当時は本当に思っていたんですけれどね。」
「なぜかそれから10年くらい経ち、いつの間にか社長をしています。(笑)よくも悪くもいろいろな業界を転々としてきて、結局、一からのやり直し。『お前いったい何がやりたいの。キャリアの積み重ね全然ないよね。』と心の声が聞こえてきたんですね。幸か不幸かこのIT業界は他の業界ともリンクできるので、それならば、まあちょっと一旗揚げてみるのもいいんじゃないかって思ったのが会社立ち上げた理由です。」
「また、良いタイミングで親父から現在の事務所を借りられ、背中を押してもらいました。」
「親父の話になりますが、某大手IT系商社(現在従業員数約7000名、グループ全体約8500名)の元取締役でした。18年前に引退してますが。その会社の設立から間もないころ(従業員が10人もいなくて従業員分の机すらないような時代)から、社長と一緒に会社を大きくしてきた、一蓮托生の関係だったようです。今は2代目が社長ですけれど、先代の社長が譲るタイミングで、じゃあ、親父も役員も世代交代だっていうことで引退。しかし、悠々自適なんて絶対いやだと言って、その翌日から事務所を借りて、個人事業でコンサルティング的なことを始めたんです。実はこの代々木の事務所も親父が不動産として持っているんです。ここを買ったのが2006年だったのかな。ちょうどその頃私も独立を模索してる時期で、『部屋余ってるんだけど、お前使う?』って言われたんです。事務所をここに置かせてもらうっていうことで、2007年の頭に会社設立という流れになりました。」
「まあ正直この辺の家賃相場で考えても、ありえないような家賃で使わせてもらってるので、なんとか10年間やってこられたわけです。」
「親父の古巣の会社とは基本的にビジネスとしてのお付き合いはないです。親父もOBとしてこちらが面倒を見ることはしても、世話になるようなことはしたくない性格なので。」 「私は、どちらかというと、我々と同じような規模の会社さんを中心にお付き合いしていきたいんです。リーマンショックの時に大きいところからバッサリやられたトラウマがあるので、お付きしていただいても旨味が感じられないのです。それであればお互い足りないところを補い合うような形のやり方のほうが楽しいじゃないですか。今は取引先で規模が一番大きいのはMETSA会員のエフネットさん、トリプルアイズさんじゃないかな。METSAの中で少しずつビジネスを拡げています。」

ご苦労されたことは

「2007年の立ち上げから1年後にはSESのパートナーさんだけで30名近く稼働させることができ、それいけドンドンの状態でした。ところが2008年の春先ごろから業界全体でコンプライアンス重視、多重構造をなくそうという方向になってきました。それで階層の深いところはダメだと言われ、2008年の春先に半分ぐらいバサっと切られて、さらに半年後のリーマンショックで、残っている人間もほとんどバッサリ切られていきました。設立1年でイケイケから一気にどん底に落ちていってしまいました。」
「このままではいけないと社員を採用する方法を模索していたタイミングで、不況の影響で多くの企業が人員削減に走った事をきっかけに、前から一緒に仕事していたメンバーだったり友人の紹介等様々なルートで今の仲間達が入社してきてくれたのです。そういう側面もあるので、「100年に1度の大不況」といわれたリーマンショックは我が社にとってはむしろプラスだったのかなって思ってます。」

助けてくれた西武信金

「先ほど苦労した話になりましたが、更に一番痛かったのは、1年目に不良債権が発生したのです。うち資本金の約半分の額の売掛金が焦げ付いて。ましてちょうどそのころから売上が一気に落ちた時期だったので、一番苦しい時期でしたね。売掛金をもらえなくても、商流の間に入っている以上、もらえないから下も泣いてくれとはいかないじゃないですか。そこはもう覚悟決めて支払いました。痛かったなんてもんじゃなかったです。」
「ただ私の場合、すごく周りの人に恵まれて、じゃあそのなくなったお金どうしよう、とりあえず借り入れるしかないでしょう。でもそうは言っても出来て間もない会社に簡単に貸してくれるところはないですよね。ところが、ここから歩いてすぐのところにある西武信金が手を差し伸べてくれたんです。それ以来すごく親身なおつきあいをしています。西武信金さんは、ビジネスパートナーとのマッチング的なことも定期的にやってくれて。あとは毎年春先に、ニューリーダーズクラブといって、若手経営者の講演会を開催しています。今年は1300名くらい集まったと言ってたかな。立川のパレスホテルって結構広いホテルで、今年はオリンピックの時期なので橋本聖子先生が講師でした。そのような講演会などを開いて、勉強できる機会を作ってくれている。まあ、痛い目は見たけれど、その分何かしら価値あるものを引っ張ってこられている思いがあります。」

社風について

「ウチの社風を一言で言えば『会社』というよりは家族でやってるような『商店』って言った方がピッタリな気がします。社内メンバー同士での肩書は私が『親父』、私の片腕的存在で私より2歳下の男が『叔父貴』、30代後半の男が『兄貴』こんな感じで呼び合ってます。もはや何の集団だか・・・(笑) ただ、普段は社内外のメンバーと賑やかに楽しく
やっててもチョットした事で、急に愚痴っぽくなっちゃうヤツもいるのが玉に瑕。ついこの前も昨年入社の若い社員、最近少しは戦力になってきたヤツなんですが、人はいいんだけどちょっと打たれ弱そうだなっていう印象がある。この前、現場の飲み会でネクタイ外していたら、『お前、なんでネクタイ外してんだよ!』と年配の方に絡まれて、『もう僕あの人たちと一緒にやっていくのが怖くなりました。』って泣き言こぼしてきた。だから、社会人として周りの状況を見て、みんながしているようだったら、『すみません、僕ネクタイ苦手なんですが外していいですか。』と声かけてから外すようにするとか、あるいは、酔っぱらいの特技として、『はめるのが嫌なんで、はちまきにしていいですか。』いうふうに芸風が伸びればいいんですが。(笑)」
「10年前からみて、すごく充実しているなっていうふうには思います。何より、自分が一番楽しんでいるのではないかと。この前のMETSA若手経営者の会の時も、あのような交流会に参加する経営者って楽しめている余裕があると思う。お金はともかく気持ちの部分でね。ただ反面、まだ社員が6名しかいないところを、METSAの他の会社と比べてしまうと、まったく気にならないかと言ったらウソにはなる。まあでもね、うちはうちのペースでやればいいと思っている。社員一人一人に私自らがアクションを起こし、時には潰れるまで飲みに連れて行ったり、ふざけたことやったら直接襟首つかみに行くようなことをやったりとか。パワハラにならず、そういうことができる環境のほうが自分にはやっぱりいいのかなと思います。」
「なのでうちはどっちかっていうと家族的なのかなと思います。毎月月末に帰社日にして言いたいことを言い合って、結構みんな仲良くやってるんじゃないかと。社員同士の結束力は半端でないです。」
「また、ウチの会社の忘年会は毎年事務所で社長自らシェフ(?)となって、酒と手料理を振舞ってます。まぁ、手料理って程凝ったものを作るワケではないんだけど、いつも一生懸命現場で汗水流してくれている社員達に対するせめてもの感謝の気持ちでね。仕入れから仕込みだけで丸1日は使ってるんじゃないかな?どうしても現場に出ている以上はみんなで時間を合わせるのが難しいので、それであれば事務所でやっちゃえば時間気にせず何時迄でも出来ちゃうので気楽なんですよ。『納期直前で終電まで作業なんですよ』とか『お客さんの忘年会に呼ばれちゃって・・・』とか言われても、『大丈夫! 朝までやってるから、そっちの用事が済んでから戻ってこい!!』って出来ちゃう。長い時は翌日の夕方まで続く事もありますよ。(笑)」

人材採用について

「うちの場合はみんな私のツテのある人間だけの採用なので、採用経費はかけていないんです。もちろん教育的な費用だったりとか、飲み食いに連れて行く費用だったりとかは、少なからず投資してます。経験ないやつが入ってきて、まず逃げ出さないやつっていうのが条件です。そういった意味でなかなか人数は増えないですね。」
「うちの社員が現場で知り合った人を、『こいつ悪いやつじゃないんだけど、生き方不器用なんだけど、うちに連れてきていいですか?』というところから始まります。採用する時も基本的には通常の面接や履歴書持っておいで的なことはやらない。『まずは飲みに行こうか。』、と有無を言わさず連れていって、2~3時間お互いの仕事観や人生観などを本音で話し終わった上で、『社長の俺はお前の胸ぐらだって平気でつかむやつだけど、そういう会社でよかったら履歴書持っておいで。』というふうに話を進めている。就職サイトに良いことばっかり書いて、入ってみたらこの人怖い、だから辞めるってことになるよりはいいのかなって思う。採用媒体に何百万もかけるよりは、その分飲み代に投資したほうがよっぽど、長く続く人間関係ができるのかな。理想としては年間に1人ずつぐらい増やしていければとは思っているんですけどね。」
「社員の一人は私が東京ドームで拾ってきたんですよ。拾ってきたといっても巨人ファン繋がりで知り合った子で、当時まだ二十歳ぐらいの大学生。それから何年か経って、もう25ぐらいになっていたのかな。『お前どこで働いてんだよ?』『まだ学生の身分です。』『何だと?』と。理工系の学校で研究室に馬の合わないやつがいた。徐々に学校に足が向かなくなり、留年と休学を繰り返し、はやこの年に。『お前いったい何やってんだよ。お前まさか、卒業できても他の4年生たちと一緒に就職できる甘い期待しているわけないよな。』と。『はい、分かってます。』『お前さ、もう学校やめてうち来い、責任は俺が持つから、面倒見るから。』そいつを学校やめさせて、うちに入社させて、今もう3年半か、だいぶ一端の戦力にはなってるよ。」
「そんな感じで、普通に仕事していたら接点の持ちようの無い若い奴らと知り合う絶好の機会なので、東京ドームに通うのも仕事のうちなんですよ。(笑)」

事業承継について

「まあ、恥ずかしながら、住宅ローンが70歳過ぎまで残っていますので、少なくともその時までは現役でいなきゃまずいですね。将来、娘が継いでくれるようになれば面白いかな。まだ高校生だけどね。」(笑)
「この前、樽屋監事と株式会社システム・ロジックスさん(第14回組合員探訪)の吉田社長の娘さん(幸世さん)の3人で飲んで、『お父さんから娘さんが社長を受継ぐまでのストーリーを見させていただきたいのでぜひ仲良くしましょう。』と。
「その反面ね、IT系のエンジニアって実務経験が数年あれば、中小企業から大企業への転職もチャンスがある業界じゃないですか。むしろ高校卒業からもっと積極的に働かせるようにしたらどうかなと思いますね。高校出てからの何年間か大学に行くと、当然働き始めるのが遅くなり、しかも奨学金を借りる。ということは働き始める時点で莫大な借金を背負ってるわけですよね。借金があるうちはいつまで経っても、結婚なんて考えられない。当然そうすると子供だってやっぱり産むのに生物学的に適した時期を逃していることがいくらでもある。結局悪循環なんじゃないかな。逆に高校を出て働き始めて良い生活できるようになるんだよっていうのを、企業的にどんどん事例を増やしていけば、無理に大学に行って、何百万も借金背負わなくてもハッピーな人生送れるというようなことを娘にやってもらってもいいのかなって思っている。」

組合への御要望など

「営業は営業同士で結構いい繋がりできてるみたいだし、経営者層は経営者層で結構いい感じの集まりがありますよね。強いて言えば、ゴルフをやらない私から言わせれば、ボーリングとゴルフの他にプラスアルファのイベントがあればいいですね。」

お困りのことは

「うちの社員みんな独身なんですよ。『いい加減嫁さんもらえって。』といつも言ってるんですけど、『だって出会いが。』『バカやろう!世の中の半分女性なんだよ。言い訳するなよ。』みたいなやり取りを。一方結構積極的な社員もいて、結婚相談所体験に行った人がいる。『年齢は特にこだわりありません。』と言ったら、77歳まで紹介されたって。おいおい26歳に77歳紹介するって。それって単に介護要員を募集してるんじゃないの。(笑)」
「ここはきれいごと抜きに、いくら最近は結婚しなくてもっていうのあるけど、やっぱりこう仕事の励みになるんであれば、我々経営者サイドとしても従業員の人生設計そのものをアシストする必要なんじゃないかなと。キャリアパスを考えるだけじゃなく。だからそういう紹介所と提携するとかね。むこうだって商売ですからね。まあ70歳の人を紹介されても困っちゃうけどね。(笑)」

モータースポーツチームへの協賛企業の募集

「うちの会社は、とあるモータースポーツチームをサポートしています。自動車レースでスーパー耐久シリーズというイベントがあるのですが、市販車ベースの競技車両でのレースとしては『スーパーGT』に次ぐ上位イベントで、車両はフェラーリやポルシェ等のいわゆる『スーパーカー』から普段の街乗りでも身近なヴィッツやフィット、デミオ等のファミリカーと多種多様、ドライバーには普段は学生やサラリーマンのアマチュアドライバーから元F1ドライバーや現役のWRCトップドライバー等の超一流ドライバー迄幅広く参加している賑やかなイベントです。」
「私が20代の頃に自動車競技(ラリー)にエントリーしていた時期があったのですが、その当時から20年以上付き合っている男が時を経てステップアップを果たし、トップクラスのレースに出場出来るようになったものの、いまだに自腹をきって参戦しています。いつも本当にカツカツな状況で走っているんで、協力してくれる会社さんを募集しています。特に今年は何十年かぶりに日本で24時間耐久レースが開催され、メディアへの露出も期待できるんじゃないかと思います。その車にうちの会社のステッカーがちっちゃく貼ってあります。そういうふうに競技車両に自社のステッカー出してみたい企業さんいらっしゃいましたら価格は応相談で、ぜひお声をかけください。」
「年間6戦のレースがあり、北からSUGO(宮城)、もてぎ(栃木)、富士(静岡)、鈴鹿(三重)、岡山、オートポリス(大分)かかる予算は6戦合計でギリギリまで予算抑えても1300万円くらいって言ってるけど、恐らく最終的には1500万円くらいにはなるかと思われます。それを、サラリーマンの寄せ集め資金で苦労しながらも走り続けています。一応我が社の位置づけとしてはスポンサー兼代理店な感じです。協賛企業募集してます。」

探訪後記

代々木駅のNTTドコモビルの手前にあり非常に便利な場所に位置しています。
読んでいただければわかりますように、社員とのコミュニケーションを深め、お互いの距離を狭めて、非常に濃密な関係を築き上げています。これでもここには記載できないイベントがだくさんありました。社員一人一人と真剣に向き合い、キャリアだけでなく人生丸ごと面倒見ていきたい。親分肌の社長です。今の時代、ともすれば何とかハラスと表面的に見られがちですが、社員が自分の人生を面倒みてくれる親父なんだと理解してくれれば、これほど家族的な信頼関係はないのではないかと思いました。
社員含めて酒好きのようですが、事務所に日本酒の銘柄”黒田武士” が置いてありました。福岡の大里酒造は遠縁にあたるそうです。

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