株式会社カオピーズに訪問し チン・コン・ファン代表取締役とグエン・ヴァン・トゥー副社長、営業部レー・ティ・タオ・ガンさんにお話を伺いました。
ベトナム・ハノイ市に本社がある社員数約370名の「Kaopiz SofwareTechnology Company Limited」を母体とする日本法人の開発会社です。
日本法人は約40名の社員が所属しています。特徴はオフショア開発でお打合わせから開発ドキュメント全般まですべて日本語で対応しています。
得意分野は、・業務システム、WEBシステム、スマホアプリ開発、画像認識AI、書類読取AIの研究開発などです。
ハノイ工科大学卒業生が社員の過半数を占め優秀なスタッフが、先端技術の開発に意欲的に取り組んでおります。
会社を創業し日本に進出した理由について
創業は、2014年9月 ベトナムのハノイ市で本社を立ち上げました。来年で10周年になります。ハノイ工科大学でITと同時に日本語を勉強していた同級生3人が創業メンバーです。創業前のメンバーの経歴は日本向けのベトナムのシステム開発会社で働いたり、立命館大学の大学院に留学し勉強していたり、もう1人は日本企業で働いていました。
2011年6月に来日した時、ちょうど東日本大震災が発生した時で大混乱でした。しかしそのあとの日本の復興の速さにびっくりしました。日本は素晴らしいというか、日本ほどすごいところはないと感嘆しました。先進的な技術を持っている人と一緒に仕事したいという気持ちになりました。また2013年当時は日本のIT人材不足という問題も大きくなっていました。
3人とも日本語もわかり、日本のやり方、日本人の働き方、日本の文化などもある程度は把握していました。せっかく日本に縁があるのでベトナムと日本の架け橋になりたいと思い、2014年にこの会社を作りました。創業してから今までいつも日本中心でビジネスを行っています。
顧客は100%日本企業で、迅速な対応をするために日本にも会社を設立することを決め、2016年に日本法人を立ち上げました。
私は、日本法人立ち上げ時は日本とベトナムを行き来していましたが、2017年から会社の発展を考え、今までずっと日本に駐在しています。グループ全体の会長と日本の社長を兼任しています。
日本でのビジネスについて
ハノイ本社のほうでは開発技術者が約370名近く在籍しています。日本の企業から受託した案件の開発を行っています。
他の会社とビジネスモデルで違う点は、日本法人では日本とベトナム間の案件を管理するブリッジSEがほとんどです。日本法人では要件や設計を行い、その後の工程をベトナムで引継ぎます。みんな日本語を話せるエンジニアです。
日本法人は今40人がおり、そのうち20人はお客様のところに常駐させて頂いています。しかし、単なるSESとか派遣というわけではなくて、ブリッジSEとしてフロントとしての役割をもって、ベトナム側に開発チームをつくって一緒に連携しながら仕事をするという形で進んでいます。
人材採用状況や方法について
新卒採用はべトナム側だけでやっています。日本に移住したい、行きたいメンバーを、日本でスムーズに生活できる準備からブリッジSEとして仕事ができるようになるまでサポートをしています。おかげ様でみんなどんどん成長して日本語の上達もそうですし、仕事もお客様に信頼してくれるようになっています。
日本国内ではベトナム人の経験者採用を行っています。近年日本の企業がベトナム人の新卒を採用しています。日本企業はベトナムでジョブフェアを開催し、優秀な人を採用し大学を卒業した後、その会社に入社します。日本企業は新卒を採用して教育や研修をしっかりやってくれています。日本の会社に入社して1年間とか2年間、日本人と一緒に働いて経験も積み、日本の文化などもよく理解していきます。
その後の選択として、ベトナムに帰りたい人も結構多いと思います。すぐに帰るわけではなく将来的に例えば数年後とかです。その帰る前に受け皿として日本のベトナム会社に入社し、ブリッジSEを経験したあと、ベトナムに帰る時はベトナム法人で働く。そういう風に考える人が多いです。そのような人たちを採用しています。
日本にベトナムの会社を創ってよかった理由ついて
今お話ししましたように、ベトナム技術者で将来的にはベトナムに帰り仕事をしたいと思う人は多いです。そのためには、日本の会社で長期に働くより日本にあるベトナムの会社に入る選択をする人もいます。やはりいろんなことも体験できるし、お客様と一緒に仕事をする、日本人と仕事をする機会もあるし、ベトナムの同僚とかと一緒に仕事することもできます。いい環境で、若者ばかりだし、いつもみんなやる気満々です。
それと日本の会社は頑張ってもマネージャーになれるのか、キャリアパスが見えないところがあります。ベトナムに本社のある日本のベトナムの会社ですと、日本でちゃんとやればマネージャーになれるし、給料もそれなりに払えるし、日本の会社にも負けないのではないかと考えています。ベトナム人にとって日本にあるベトナムの会社に入ることは良いことだと思います。
ブリッジSE入社後、お客様とスムーズに関係を築けると思います。ベトナムの会社として存在感があって、いわゆるベトナム人の心のよりどころといったらおかしいですが、日本に来た人もキャリアパス考えて安心して仕事もできるし生活もできる環境を作りました。
貴社の強みについて
強みといえば新しい技術を手に入れて新しい言語などを習得するのが早いです。それを応用して開発スピードを早めることができます。あるいはお客様から古くなった技術を乗り換えたいとか、作り直したいとか、そういったときに新しい技術を提案するのが私たちの強みです。当社のブリッジSEは日本語が話せるだけでなくて日本でドキュメントを作成できるエンジニアです。
日本語能力は試験でN5からN1レベルがあります。N1は一番高いレベルです。弊社のブリッジエンジニアはみんなN2以上です。お客様の説明頂いた日本語の内容に対しては、自分で内容を咀嚼し整理して書類を作成し提案することができます。すべて日本語で提案できる日本企業向けのシステム開発会社です。
これから目指すことについて
ベトナムだから単金や給与が安いとか、そういうことはどんどんなくなると思います。
当社が目指すところは、単にコストが安いとかじゃなくて、日本人くらいのレベルの仕事も対応できるようにすることです。例えば開発案件などを上流から対応できるようにすることで、単なる開発よりもコンサルティングパートナーを目指したいです。お客さんがこういうことをやりたいのであれば、例えばこのような技術をもって対応できますということを常にPRしたいと思います。
当社は去年のような円安の問題がなければ、もっと日本進出に力をいれるつもりでした。しかし、このままではリスクが高くなる恐れがあり、今年からは他の新規市場を、例えばヨーロッパなども調べて開拓したいと考えているところです。もちろんベトナム国内もこれからチャンスもありそうですね。
日本の場合、労働人口、ITエンジニアもどんどん減っていくため、条件は良くなる方向であることは予想できますが、やはりヨーロッパなどに比べて伸び率などは心配ですよね。
METSAに加入したきっかけについて
弊社は他の団体、組合にも参加しています。目的は新規顧客や仕事を探すためです。それと経営者間の交流もしたいですね。今のところMETSAはSESつまり人の派遣などのビジネスが多いように思います。当社が現在集中している請負受託開発案件はあまり出ていないです。ですから今までは正直加入した効果はないのですが続けてやらせて頂きたいと思います。今後もビジネスにつながればよいなと思っています。引き続き期待しています。
JASPA ITビジネス創出展2022に出展の件
去年、大崎で開催されたMETSA組合の上部団体であるJASPAの「ITビジネス創出展2022」の展示会にブースを借りて参加させていただきました。
今年は、4月5日~7日まで東京ビッグサイトで開催される「Japan IT Week【春】」に出展予定です。出展内容は、①オフショア開発、②AI-OCR、③AI-画像認識、④ブロックチェーン、⑤AWSなどです。ぜひお越しください。
貴社でお困りのことがあれば
ひとつは先ほど申し上げました円安です。昨年ですとドンとドルの為替があまり変わらない中で、円とドルのレートが3割くらい安くなり、間接的に円からドルに両替するときに利益がなくなるくらい、かなり安くなってしまいました。
もうひとつは、新規顧客開拓に力を入れていますが、目標を達成できていないことです。どのように見込み顧客を開拓し受託に結び付けるのかがわからず困っています。
METSAの入札研究会について
先ほど、組合の入札研究会について教えていただきました。弊社はISO9001品質管理の資格を持っています。全省庁統一入札資格を取れるように申請したいと思います。入札研究会に入りたいと思います。組合からどういうふうに教えていただけるか楽しみです。ぜひご案内をお願いいたします。