会社概要について
DNV GL社様は、ノルウェー・オスロに本部を置き、船級業務、オイルガス、エネルギー関連審査業務と共に、全世界で認証数が80,000件にも及ぶ認証サービスも提供されており、公平性・中立性を保ち、ワールドワイドに先進的リスクマネジメントサービスを提供できる数少ない団体のひとつです。
DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社様はその認証サービスを受け持つ日本法人であり、ISO9001,14001, 27001, 22301,13485,IATF16949,AS9100等々のシステム認証・教育業務及びISO26262, CMMI, ASPICE等アセスメント・教育業務、CSR審査、SCM審査等々をが主要な提供サービスとなります。
貴社設立について
「弊社の設立は1864 *年ですので今年で創業153年となります。ノルウェーというと福祉国家のイメージが強いものの、産業としては海運、海洋資源、海洋油田等々に非常に強みがある豊かな国と言えます。
我々は世界3大認証機関の1社に数えられていますが、北欧に本社のある認証機関がここまで大きな影響力を持っている理由の一つには、バイキングの血統。積極的に海外に進出するという国民性や歴史も多分に影響しているのかも知れません。」
「認証機関として貴組合様を審査させて頂いている立場ですので、少し堅苦しい印象をお持ちかも知れませんが、今回のインタビューを通して、普段は余り触れることのない認証機関の素顔をご理解頂ければ嬉しいですね」
*)1864年当時は、日本では幕末時代、アメリカではリンカーン大統領時代に相当
認証業務、事始め
「ノルウェーは世界有数の海運国ですから、社の出発点は“船級協会”という船舶認証業務になります。 船舶が安全に航海する為には、その構造、配置や機器、エンジン等々に関して事細かくルールが規定されおり、その規則自身を策定する業務、及び実際の建造船がそのルールに沿っているか否かを検査する機関を船級協会といいます。日本では1965年に、この船級協会の事務所として神戸に設立されたものが弊社の出発点です。 船級から始まった事業が拡大し、石油やオイルガス、エネルギー事業、そして今、私達が行っている認証事業がビジネスの柱になります。第三者的に審査を行う、という観点からは船級業務も認証業務も源流は同じであり、審査、検査会社から認証機関が出ているのは極めて自然な流れと言えます。現在、この審査事業を行うDNV GLビジネス・アシュアランス・ジャパンとしては売上高22億。正社員、契約社員合計で約150人の事業規模です。又、DNV GLジャパン船級もほぼ同規模となります。」
認証機関としてのサービスの概要について
「私達が提供するサービスですが、貴組合に提供させて頂いているISO27001を始め、品質、環境、食品、自動車、航空宇宙、医療機器等々のマネジメントシステム認証。いわゆるISO関連サービスは全て網羅させて頂いています。又、ISO審査以外にも、技術アセスメント、教育事業、CSR・サプライチェーン審査、ソフトウエアのプロセス審査等々まで幅広く提供させて頂いています。」
「『CSRとかサプライチェーン審査って何?』と思われてますよね? 例えば電機業界でしたら、倫理調達プロセスのアセスメント、CSRレポートの検証業務等がこれに相当します。サプライチェーン審査であれば、冷凍食品メーカーに納入されている様々な原材料の審査、大手電機会社と取引のある部品メーカー等々。所謂サプライチェーン全てに渡り我々が審査を実施しており、スマートフォン等のモバイル通信機器はその典型と言えます」
貴社のサービスの特徴について
「例えば自動車を例にとれば、車載の電子機器はますます高度化、複雑化しており、従来の機械部品と言うよりも、寧ろソフトウェアやシステムの占める割合が支配的となってきています。弊社の特徴はISOの審査機関でありながら、こういったソフトウェア、システムのアセスメントが出来る人材を多く集めているところ。加えてCSRやサプライチェーン系の審査が非常に強いところが、他社と大きく異なる部分と言えるかも知れません。」
認証機関とソフトウェア会社や一般生活とのつながりについて
「例えばスマートフォンが好典型ですが、我々が審査をさせていただいているメーカー様の組み込みソフトウェアには、沢山のソフトウェア会社さんが開発に絡んでおられて、多分貴組合員さんとの関係もあるのではないかと思います。又、自動車の機能安全の対象も制御系そのもので、そのソフトウェアのロジックを我々がアセスメントさせて頂いています。ソフトウェアの世界は、プライマリーベンダーさん配下に何層もの重層構造になっている事から、直接間接を問わず、様々な局面で様々な会社さんとお取引をさせて頂いている事になりますね」
「こうやって考えると、我々認証機関って所謂黒子なので中々見え難い位置には居ますが、皆さんの日常の様々な場面で認証サービスが関係している事って面白いと思いますよ。例えば皆さんビールを飲まれますよね。某大手ビール会社さんグループ会社含む全体に対して弊社が認証をお出ししていますし、タバコを吸われる方は、指に挟んだタバコに弊社の認証が関わっている事を思い出して欲しいですね。(国内のタバコメーカー様は我々の認証をお受けになっています) 又、某スーパーマーケットチェーン会社さんに関しても、店舗のみならず、PBで仕入れている製造会社さんの審査も実施しており、サプライチェーン全体をカバーしている事を考えれば、意外に身近なところに認証が存在している事に気付かれると思います。」
「多分ソフト会社さんも似た立ち居地にあって、最終製品としては見えないものの、その中枢に組み込まれているという意味では、関わり方としては近いと思います。我々は完全に黒子ですし、ソフト会社さんも同じく黒子。それだけで表に出る事は無いものの、実は必要不可欠であるという意味で、その苦労と共に社会的な使命感のような部分は共感出来るかも知れませんね」
「認証機関に対しては少しお役所的なイメージをお持ちになるかも知れませんが、こうしてISO認証のみならず、様々なサービスで皆さんの日常生活と密接に関わっている事をご理解頂ければ、少し別の角度から興味を持って頂けるかなと思います。 認証機関のイメージ、少しは変わられたでしょうか?」
今後伸ばすビジネス領域について
「既存の品質、環境系のISOに関しては既に成熟段階にあると言っていいと思いますが、ITに関しては従来の情報セキュリティの分野から、今後クラウドの世界に広がりを見せ、適用範囲は更に広がっていくでしょう。 更に弊社の強い分野で言えば、自動車、機械の制御系へのアセスメント、サイバーセキュリティやIoTの部分も業界の伸びと共に、弊社としては更に注力していくべき分野で、十分に差別化も出来ると見ています。又サプライチェーンに関しては既にブロックチェーン技術を利用したサービス等も開発していて、新しい概念の元でサービスは伸びていくでしょうね。お客様の“ビジネスへのアシュアランス”、という意味で、弊社も更に進化していかなければいけません。」
社会的使命について
「認証機関って少しお役所的に思われがちかも知れませんが、先にお話をさせて頂いたとおり、皆様の生活に直結している業務です。 品質、環境、食品、IT等々、全てにおいて最終のエンドユーザーに関わる大事な仕事であり、審査の先にあるエンドユーザーである消費者様の事を念頭に業務を行うことこそ、我々の社会的使命と言えるかも知れませんね。」
認証を取得する価値について
「認証価値の定義は少し分かり難い部分もあるかも知れませんが、明示的に分かる例で言えば、認証対象サービス、製品の付加価値(売値)の向上が最も分かりやすい例かも知れません。例えば弊社が認証しているオリーブオイル、パスタ、コーヒーの例で考えると、取得認証を付加価値にして売値に転嫁出来ている例が多くあります。 認証を取得することで生産者、加工者はその製品の価値、げ売値を上げ、購買者はその認証により、より安全で安心な製品を購入する。その認証の仕組みを作り提供している我々認証機関は、その価値の担保に注力する。所謂三方良の構図が上手く構築されています。又、情報セキュリティ認証活動を通じてたセキュリティ事故の防止や、労働安全衛生認証活動を通じた労災の防止等々、仕組みそのものの実質的な改善は、本来のシステム認証のあるべき姿とも言えます」
「日本では、ともすれば認証の価値を卑近な入札条件、取引条件に限定的に考え勝ちですが、認証先進国の海外の例を見て頂ければ、所謂認証取得という初期の目的から、実質的な活用目的に移行していくべき大事な時期かとも感じています。」
組合に期待することは
「組合員様やそのお客様の中で情報セキュリティと、クラウドセキュリティ等々にご関心があれば、認証機関はいくつかありますが、その中の一つとしてご検討、ご紹介いただければ非常にありがたいですね。又、啓蒙セミナーという部分で、ご協力出来る事もあるかと思いますので、お気軽にお声掛け頂ければと思います。 認証機関って審査の時だけのお付き合いじゃなく、審査以外の様々なサービスを提供させて頂いている事を念頭に置いて頂ければ、お付き合いのイメージも変わると思います。」
「弊社では今までも、情報セキュリティの国際統合認証や、複雑で重層な規格統合等々、色々な先進事例に取り組んで来ましたが、それらは全てお客様もご要望が出発点であり、我々は難しいご要求を頂くほうが工夫のし甲斐がありますし、技術屋集団としての使命感を感じる部分もあります。 最終的には組合員の企業様のレベルが上がり、企業様が伸びるようなパートナーでありたいと思っていますので、何時でもお気軽にお声掛け下さい。」