会社概要
プラムシステムズは、制御機器などの組み込み開発からWebシステムやスマホ向けシステムの開発など幅広い分野での実績がございます。
最新のネットワークセキュリティ機能をオープンソースのOpenVPNを利用して製品化、またイタリアのEndian社のUTM(Unified Threat Management)製品の日本総代理店として多くのお客様にソリューションを御提供しております。
設立のきっかけや今までご苦労されたことは
もともと私は、組み込みの技術者でした。特にネットワーク通信が大好きで、大学時代からある企業の研究室で、今でいうインターンとして働いていました。30年前の話です。今では考えられないことですが、私にも最新のマシンを与えていただき、『1年あげるからこういうのを作ってごらん。』と機会を与えてくれたのです。それは、自動縫製(スーツを作る工程を自動的に行うもの)システムを開発するプロジェクトでした。その中で私は、布をミシンに入れる工程、機器の組み込み制御やロボット制御、そして画像処理工程を任されたのです。
実は、今でも、そのシステムを使った自動縫製の工場が筑波にあると聞いています。このプロジェクトを通して、人脈が広がり、各企業の研究所とお付き合いできるようになりました。
このような経緯で、サラリーマンを半年ほど経験した後は、個人事業主としていろんな企業と取引させていただきました。当時は、個人と取引しない会社が多かったので、派遣会社のお名前を借りて行かせていただきました。しかし、全部自分で案件を持ってきていても、取られる手数料が3割4割と非常に高く、不満に思っていました。
そうした中で、首都圏コンピュータ技術者協同組合(現㈱PE-BANK)を知り、個人事業主としてお世話になりました。一番手数料を取らない組合で、実力を発揮しやすい環境を整えて頂きました。
会社設立のきっかけは、自分一人の限界を感じたからです。収入面、技術的な面、仕事の面、小さい事しかできないので大きくしたいというのが動機です。1999年4月に4人で始めました。人材採用や資金調達で苦労を重ねましたが、慎重に経営しおかげさまで、現在は正社員と個人事業主含めて60人を超えました。
貴社の状況や強みにつきまして
当初は、複写機への組込み系システム開発が事業の中心でした。その後WEBサービス等の開発も手掛けるようになりました。
また、OpenVPNというオープンソースを使用したセキュリティアプライアンス製品を開発しました。代理店を経由して販売や保守サービスを行っています。OpenVPNの日本語版は当社が日本で最初に製品化したのです。そして日本語情報サイト(OpenVPN.jp)を公開しています。それらがきっかけとなり、イタリアのセキュリティ機器開発会社のEndian社からお声がかかり、日本での総代理店として独占契約を結ぶことになりました。(http://www.endian.com/partner/distributor/) また、アプライアンスサーバを設計するうえで必要な設計技術を持つエンジニアが在籍し、サポートできる技術が多岐にわたっているのが一つの強みと考えています。
Endian社製製品の特長とターゲット顧客について教えてください。
Endian社とは2010年から継続して提携をしています。Endian社のネットワークセキュリティ製品は、箱モノなのですが全て機能をソフトウェアで作っています。ですから実はハードウェアではなくて、VMware等の仮想サーバ環境上で稼働するというのが、強み・特徴になっています。Endian UTMを仮想環境の一つのゲストOSとして構成され、通信の全てを経由させます。そしてこの配下が全てUTMで守られている状態になります。稼働状況に合わせ、仮想リソースの増強をすることにより、簡単にそして柔軟に対応できます。スケーラビリティが非常にある製品ですね。
それらの特徴により、データセンタやキャリアさんなど主にエンタープライズビジネス向けに需要が高まり、実際にご利用いただくケースが増えてきました。
当社の製品であるOpenVPNべースのvpnuxシリーズも同様に仮想サーバ上でも稼働します。お客様の御要望や状況により、EndianUTMやvpnux等の中から最適なものを御提案しております。vpnuxは直販で、EndianUTMは代理店を通して販売させていただいております。これまでMETSAの協議会で二回ほど説明の機会を頂きました。
今後の方向性につきましてはいかがでしょうか?
今後、力を入れていきたいのは教育ですね。
本当に日本の市場には良い人が少ないですね。だから、良い人を集められないなら育てるしかありません。技術だけではなく、人間性もすごく問題になるので、そこから教育というところを考えて立ち上げました。
最初に始めたのはコミュニケーションですね。技術があっても、コミュニケーションがなくて仕事に繋がらないという人が多いとも聞いていました。しかしコミュニケーションの教育を始めてみると、根っこはそこではないと気付きました。幼児の段階から必要であると気がついたのです。現在は東京都と共に、小中学生・保護者及び教職員を対象にしたITリテラシーの教育『ネット、ケータイの安全講座』という講座を年間600回ほど開催させていただいております。そして何よりも力を入れているのは、クリティカルシンキングですね。
クリティカルシンキングとはなんでしょうか。またどのように実践しているのでしょうか
各国で、ニュースをどれくらいの割合の人が信じているのかという面白い統計結果があります。日本人は8割くらいが信じていて、中国人は1割くらい、アメリカ人は5割くらい。つまり、アメリカではニュースを疑わしいと思っている人が半分くらいいるということです。本当に相手が言っていることが事実かどうなのかを確認する。そして事実に基づいて論理的に行動する。その具体的な技術がクリティカルシンキングです。その先にあるのは、人との違いをちゃんと見極めること、そして新しい思考に繋げていくことができるようになることです。
クリティカルシンキングは、様々な考え方を結び付けたものです。ロジカルシンキング、統計学、宗教なども入っているんですよ。だから、ふたを開けると誰もが知っていることがすごく多いんです。それをちゃんとフレームワークにしてあげて、分かりやすい言葉で統一してあげるということを弊社ではやっています。つまり、自社で全部コンテンツを作っているのです。
ある大手企業の大卒者の新人研修に利用していただきました。しかし、率直に言って大学を出てからクリティカルシンキングを身に着けても遅いのです。幼少時代から長年培う必要性があるのです。現在私共では、クリティカルシンキングを都内の公立中学校を中心にやらせていただいています。具体的には都立高校受験のグループ面接対応という訓練です。グループを組まされ与えられた主題を皆で話し合う。自分の意見を言い、相手の意見を聞きまとめて発表する訓練です。クリティカルシンキングは、批判的思考のグローバルな人間を育てているという意味ですごく有用なんですよ。
鍵となるのは、それを教える講師です。コンテンツだけ持って行っても、実際にはできないですから、そこがポイントだと思います。我々自身がコミュニケーションを教えるのに、コミュニケーションが取れない講師を派遣するわけにはいかないですからね。ですから、講師はわたしもやっていますし、社員を極力教育して講師をやらせています。うちの社員ができませんというのじゃ困りますので。
これも営業をやっていなくて口伝えで依頼があります。学校関連で年間700件講演をやっています。わたし一人だけではないので、当社の教育スタッフもやっています。東京都以外にも今年は来月に、秋田の教育委員会でもやる予定です。
中国の日系企業でもやらせていただいています。できたら東南アジア全域に広げていきたいという夢があるんです。
人材採用についてはいかがでしょうか
採用してもすぐに会社を辞められてしまうのは大変な事です。辞めない人をどうやって探して育てていくのかが、一つのキーですよね。当社では、個人的な繋がりによる採用、人伝による採用に重点を置いています。それに、わたしたちの理念を理解し共有しないと、させられない仕事もございますし…、一緒にやっていける人ですよね。
ネット媒体で募集しても、あまり来ないですし、費用対効果が悪いなとすごく思いますね。ですから、現在は同じような理念を持つ会社を買収吸収していきたいと考えています。中国系で勢いのあった企業が今はパッとしなくなっていたり、事業承継で苦労されているところもあるので、現在、いろんなところと商談をもっているんです。
会社の理念をお話されていますが・・
わたしがエンジニアとして働いていていく中で、エンジニアとお客様の双方、更には社会全体が幸せになることを考えて「Wins2Wins」と呼び理念としています。それは、創造性教育ということに繋がっていきました。自尊心をしっかりもって、成功体験を重ねて幸福になっていく。コミュニケーションも大事にしていく、という考えです。
ありきたりの言葉だけど、自分を思うような気持ちで相手を思ってあげることが重要ですし、それはつまり、ひと言で言うと、愛ですよね。自分が満ち足りないと愛情を出すことってできないはずなんです。正しく自分が満ち足りていて、初めて他者を思いやれるのです。だから、多くの人に自分を好きになってほしいなと思います。
派遣法改正等への対応について
弊社では、2006年に一般派遣事業の認定を取得しました。派遣法改正で求められているキャリアアップ支援については、外部サービスを利用することも検討しました。しかし、自分たちの教育メソッドである創造性教育を自社の社員に適用するほうが益が大きいと考え、継続して実施しています。手間はかかりましたがね。